そそる比叡に、流るる加茂に、、、山紫水明の地に、大正15年に建てられた町家です。およそ95年の間に、建物は水平方向に最大13cmも傾いてしまいました。果たして建物の傾きは直せるのか?大工さん共々、夜も眠れぬ日々が続きました。幸い建物の建て起こしに成功し、さらに屋根でふさがれていた中庭の復活もでき、家族4人が気持ち良く暮らせる住まいになりました。

はなれ うなぎの寝床の一番奥にあります。

2階和室 風通しの良い静かな空間


玄関 石敷きの土間スペースを大きくとっています。部屋内とは、障子の仕切りとなっており、外部とゆるやかに接続しています。

ダイニング 清潔で明るい生活空間とするため、壁は白漆喰を基調としています。

中庭 建具を開け放つと、裏庭まで見通せます。

2階板の間 住み手の趣向が垣間見えます。
改修今昔


居間とキッチンとを隔てる間仕切りを撤去し、開放的なダイニングとしました。


キッチンには隣接して洗面を設けました。ワークスペースとしては、小さくなりましたが、土のついた野菜など大物の洗い場としても利用可能です。


中庭を覆う屋根と床を撤去、採光と風通しを確保しました。奥の和室は、一度外部に出てからでないとアプローチできない文字通りの「はなれ」となりました。


左が改修前です。隣家にもたれかかるようにして立っていました。


はなれ 以前は、部屋から直接浴室にアプローチするようになっていました。改修後、部屋は狭くなりましたが、斜め平床の向こうに独立した脱衣室を設けました。


2階板の間は全て事務所として利用されていました。改修後は就寝、趣味のスペースとなっています。


2階奥の部分を和室としました。内部が収納となっている4枚引戸は、工務店の倉庫に眠っていた舞良戸を譲っていただいたものです。
工事中の様子 内部は、ほぼ骨組みだけとなりました。露わとなった壁体内部から補修に使ったとみられる昔の新聞が出てきました。リンドバーグが大西洋横断飛行に挑戦したのは、昭和2年(1927年)12月20日のことです。
作 品 概 要
所在地 京都市北区
用途 住宅
構造 木造2階建
延床面積 約95㎡
施工 株式会社北村工務店